兄弟ものがたり
小さい頃は二人の喧嘩はもっと激しくて、怒鳴り合いが殴り合いになり、お互いにそっぽを向いて拗ねたままでも、おやつの時間にはすっかり仲直りして、余った分を半分こしている姿をよく見かけた。
まあ時折、その半分が均等ではないと再び喧嘩が勃発したりはしていたけれど。


「まあでも、家がお隣なので小さい時から割といつも一緒で、はるくんは私にとってもお兄ちゃんって感じでしたけど」

「おや、陽仁くんと和人くんは双子でしたよね。お兄ちゃんなのは、陽仁くんの方だけなのですか?」


星見の問いに、真悠は眉間に皺を寄せて「んん……」と考え込む。


「そうなんですよね。はるくんとかずくんは双子だから、片方がお兄ちゃんならもう片方もお兄ちゃんのはずなんですけど……。なんて言うんですかね、かずくんは、お兄ちゃんって感じではないというか……別に、かずくんが子供っぽいってことじゃないんですよ?まあ子供みたいな時もありますけど、そういうことじゃなくて、んん……何と言えばいいのか」


難しい顔でうんうん唸る真悠を見て、星見は穏やかな微笑みを浮かべる。


「そうですか。それは難しい問題ですね」
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