兄弟ものがたり
「そうだ、星見さん。ホットチョコレート、メニューに加えたらどうですか?すっごく美味しかったですよ」
「それはありがとうございます。では今度、マスターと相談してみることにしましょう」
「そういえば私、まだマスターさんにお会いしたことないです。どんな方なんですか?」
このいかにもマスター然とした星見をおいて他にマスターがいるとしたら、それ一体どんな人なのか。いかにもコーヒーを極めていそうな初老の人か、それとも初老とまではいかないが、星見より渋みがある感じの人か。
色んな想像を巡らせながら答えを待っていると、星見はちょっぴり困ったような顔で笑った。
「どんな人、ですか。そうですね、彼を一言で表すならば――恥ずかしがり屋、ですかね」
「……恥ずかしがり屋、ですか」
それはなんとも予想外な一言で、真悠は困惑する。想像していたどんなマスター像にも、その言葉は当てはまらない。
「そうなのですよ。最近はようやく、少しずつ店にも出てくれるようになったのですが、大体いつも奥の部屋にこもって接客は任せきり。全く困ったものです」
そう言ってため息をついた星見は、苦笑する真悠に向かって「でも」と続ける。
「それはありがとうございます。では今度、マスターと相談してみることにしましょう」
「そういえば私、まだマスターさんにお会いしたことないです。どんな方なんですか?」
このいかにもマスター然とした星見をおいて他にマスターがいるとしたら、それ一体どんな人なのか。いかにもコーヒーを極めていそうな初老の人か、それとも初老とまではいかないが、星見より渋みがある感じの人か。
色んな想像を巡らせながら答えを待っていると、星見はちょっぴり困ったような顔で笑った。
「どんな人、ですか。そうですね、彼を一言で表すならば――恥ずかしがり屋、ですかね」
「……恥ずかしがり屋、ですか」
それはなんとも予想外な一言で、真悠は困惑する。想像していたどんなマスター像にも、その言葉は当てはまらない。
「そうなのですよ。最近はようやく、少しずつ店にも出てくれるようになったのですが、大体いつも奥の部屋にこもって接客は任せきり。全く困ったものです」
そう言ってため息をついた星見は、苦笑する真悠に向かって「でも」と続ける。