兄弟ものがたり
「急いでね、かずくん!あと、キッチン借りるね」
「朝飯ならもう食った――」
和人の言葉を最後まで聞かず、真悠はぱたぱたと駆けて行く。わざわざ戻ってもう一度言うのも面倒だったので、和人はまあいいかと階段を上った。
その後ろを、陽仁がバタバタと追いかけてくる。
「なあ、和人。さっきの話の続きだけどな」
「……まだするのかよその話」
もちろんだ!まだ終わってないからな。と陽仁。それを聞いて、和人はため息をついた。
「それでな、おれは思ったんだ。おまえがそうやってつんけんした態度を取っている間に、熱烈に真悠のことを好きな男が現れたとする。そいつが、おまえとは違ってその熱烈な気持ちを素直に真悠に伝えたとしたらどうだ?真悠が、“素直な男の人って素敵!”とか言ってそいつの気持ちに応えたとしたら」
「……とりあえず、あいつの真似をしたんだとしたら、気持ち悪いうえに似てないから二度とやるな」
そうやってどうでもいいことを突っ込んで誤魔化したけれど、真悠が知らない男と並んでいる姿を想像したら、思わず和人の眉間に皺が寄った。
たとえそれが知らない男ではないとしたって、陽仁だったとしたって、三人ではなく二人というところに、どうしようもなくモヤモヤした気持ちになる。
「朝飯ならもう食った――」
和人の言葉を最後まで聞かず、真悠はぱたぱたと駆けて行く。わざわざ戻ってもう一度言うのも面倒だったので、和人はまあいいかと階段を上った。
その後ろを、陽仁がバタバタと追いかけてくる。
「なあ、和人。さっきの話の続きだけどな」
「……まだするのかよその話」
もちろんだ!まだ終わってないからな。と陽仁。それを聞いて、和人はため息をついた。
「それでな、おれは思ったんだ。おまえがそうやってつんけんした態度を取っている間に、熱烈に真悠のことを好きな男が現れたとする。そいつが、おまえとは違ってその熱烈な気持ちを素直に真悠に伝えたとしたらどうだ?真悠が、“素直な男の人って素敵!”とか言ってそいつの気持ちに応えたとしたら」
「……とりあえず、あいつの真似をしたんだとしたら、気持ち悪いうえに似てないから二度とやるな」
そうやってどうでもいいことを突っ込んで誤魔化したけれど、真悠が知らない男と並んでいる姿を想像したら、思わず和人の眉間に皺が寄った。
たとえそれが知らない男ではないとしたって、陽仁だったとしたって、三人ではなく二人というところに、どうしようもなくモヤモヤした気持ちになる。