兄弟ものがたり
「聞いているか、和人!!」
「だああー、もう聞こえてるっつうの!!わかったから大声出すなよ。つうかお前、明らかに誤魔化すために無駄にでかい声出しただろ」
「そうか、わかってくれてよかった!」
どうやら陽仁の耳は、都合の悪いことは聞こえないように出来ているらしい。諦めて和人はため息をつくと、肩を掴んでいる手を振り払って、階段を下りた。
下りきった先で、リビングのドアが閉まっているのが見えてホッとする。
何事もなかったかのようにドアを開けてリビングに入ると、真悠はキッチンにいた。たとえドアが開けっ放しだったとしても、陽仁の無駄な大声は聞こえなかったのではないかと思うくらい、忙しそうに動き回っていた。
「……何してるんだ?」
和人が声をかけると、真悠は顔を上げて首を傾げる。
「何って、お弁当だよ。見てわからない?」
「いや、わかるけど、時間がないんじゃなかったのかよ」
確かに真悠はそう言って、早く早くと陽仁や和人を急かしていた。それなのに当の本人は、吞気に――というほどのんびりした動きでもないけれど、お弁当を作っている。
「だああー、もう聞こえてるっつうの!!わかったから大声出すなよ。つうかお前、明らかに誤魔化すために無駄にでかい声出しただろ」
「そうか、わかってくれてよかった!」
どうやら陽仁の耳は、都合の悪いことは聞こえないように出来ているらしい。諦めて和人はため息をつくと、肩を掴んでいる手を振り払って、階段を下りた。
下りきった先で、リビングのドアが閉まっているのが見えてホッとする。
何事もなかったかのようにドアを開けてリビングに入ると、真悠はキッチンにいた。たとえドアが開けっ放しだったとしても、陽仁の無駄な大声は聞こえなかったのではないかと思うくらい、忙しそうに動き回っていた。
「……何してるんだ?」
和人が声をかけると、真悠は顔を上げて首を傾げる。
「何って、お弁当だよ。見てわからない?」
「いや、わかるけど、時間がないんじゃなかったのかよ」
確かに真悠はそう言って、早く早くと陽仁や和人を急かしていた。それなのに当の本人は、吞気に――というほどのんびりした動きでもないけれど、お弁当を作っている。