兄弟ものがたり
「ほらっ、二人共急いで!バスが来ちゃう」
「も、元はと言えば、お前が突然弁当なんか作り始めるからこうなったんだろ!」
肩から下げるでも、手に持つでもなく、出来るだけ揺らさないよう両腕で抱えるようにトートバッグを持って、和人は息を切らせながら走る。
「突然じゃないよ。お弁当はずっと前から決めてたから。でも、今日に限って目覚ましが鳴らなかったから寝坊しちゃって」
「ああ、あるよな、そういう時。おれも試験の時に目覚ましが鳴らなくて、ギリギリで滑り込んだことがある」
「おま、お前の、目覚ましは、ちゃんと仕事してんだよ!お前が、寝ぼけて止めて、そのまま二度寝しただけだろ!」
走りながらも話をする余裕がある真悠と陽仁とは違い、和人は息も絶え絶えだ。
貴重品しか入っていないような小さなバッグを肩から下げている真悠はいざ知らず、陽仁は和人が持っているのより大きなスポーツバッグを下げているにも関わらず余裕の表情。
「なんでいっつも弁当持って全力疾走しなきゃいけないんだよ!」
「じゃんけん負けた人が持つってルールでしょ。いいから文句言わずに走れー!」
「おまえ、昔からじゃんけん弱かったもんな」
「も、元はと言えば、お前が突然弁当なんか作り始めるからこうなったんだろ!」
肩から下げるでも、手に持つでもなく、出来るだけ揺らさないよう両腕で抱えるようにトートバッグを持って、和人は息を切らせながら走る。
「突然じゃないよ。お弁当はずっと前から決めてたから。でも、今日に限って目覚ましが鳴らなかったから寝坊しちゃって」
「ああ、あるよな、そういう時。おれも試験の時に目覚ましが鳴らなくて、ギリギリで滑り込んだことがある」
「おま、お前の、目覚ましは、ちゃんと仕事してんだよ!お前が、寝ぼけて止めて、そのまま二度寝しただけだろ!」
走りながらも話をする余裕がある真悠と陽仁とは違い、和人は息も絶え絶えだ。
貴重品しか入っていないような小さなバッグを肩から下げている真悠はいざ知らず、陽仁は和人が持っているのより大きなスポーツバッグを下げているにも関わらず余裕の表情。
「なんでいっつも弁当持って全力疾走しなきゃいけないんだよ!」
「じゃんけん負けた人が持つってルールでしょ。いいから文句言わずに走れー!」
「おまえ、昔からじゃんけん弱かったもんな」