兄弟ものがたり
「これはもう、バスより速く走るしかないね。大丈夫!私達の方がリードしてるし」
「お前、車、なめんなよ……!」
喋ったら余計に疲れたが、突っ込まずにはいられなかった。
そして真悠は、ここに来て更にスピードを上げる。近かった背中は、またすぐに離れていく。
それを眺めながら必死で走っていると、隣に誰かが並んだ。もちろんそれは、真悠同様にスピードを上げてきた陽仁だ。
余裕の表情で隣を走るその姿が、ちょっぴり癪にさわる。
「頑張れ和人!バス停、いや真悠はもうすぐそこだ」
「っ!?余計なこと言わなくていいんだよ!!」
和人の大声に、真悠が振り返る。
「かずくーん、叫んでる暇があったら走れー!バスに追いつかれちゃうぞー!」
「だ、そうだぞ、和人」
「この……体力バカ共が!!」
バスに追い立てられるように、三人は、というより主に和人が、全力で駆ける。
好きだから応援すると決めたり、今はまだ自分の気持ちがわからなかったり、どうにも素直になれなかったりしながら、今は三人で。
一人前を走る背中を、二人で追いかける。
「お前、車、なめんなよ……!」
喋ったら余計に疲れたが、突っ込まずにはいられなかった。
そして真悠は、ここに来て更にスピードを上げる。近かった背中は、またすぐに離れていく。
それを眺めながら必死で走っていると、隣に誰かが並んだ。もちろんそれは、真悠同様にスピードを上げてきた陽仁だ。
余裕の表情で隣を走るその姿が、ちょっぴり癪にさわる。
「頑張れ和人!バス停、いや真悠はもうすぐそこだ」
「っ!?余計なこと言わなくていいんだよ!!」
和人の大声に、真悠が振り返る。
「かずくーん、叫んでる暇があったら走れー!バスに追いつかれちゃうぞー!」
「だ、そうだぞ、和人」
「この……体力バカ共が!!」
バスに追い立てられるように、三人は、というより主に和人が、全力で駆ける。
好きだから応援すると決めたり、今はまだ自分の気持ちがわからなかったり、どうにも素直になれなかったりしながら、今は三人で。
一人前を走る背中を、二人で追いかける。