Be!渋谷店の事件簿
嶋部長の話を聞いててもまだどこか信じられなくて、蓮見チーフとその言葉たちが結びつかない。

「遺書とかはあったんですか？」

そう聞いたのはよっちゃん。
聞かれた嶋部長は横を向いて誰かに確認しているみたい。

あれは…足立さん？
刑事がここまでやって来てる。

「遺書は発見されてないそうよ」
「じゃぁ、なぜ蓮見チーフが自殺したかは分かってないんですね」

足立さんが嶋部長に頷いて、

「そうよ。この中でもし何か心当たりがある人はなんでも教えてください」

まるで嶋部長は警察に言わされてるみたい。
なんて思ってしまった。

「告別式は明後日、蓮見さんの地元で行われます。私も行くので何かあれば預かります」

人が亡くなってもこうやって淡々と時間は流れていくんだと、やりきれない思いが強くなる。
もう泣くことさえ後回しにしている。

「うわーっ……」

突然泣き崩れた人がいる。
高田美鈴さんだ。

同じ部署で蓮見チーフに近かったから、美鈴さんの悲しみは相当なものだろう。
そう思ったら胸がしめつけられる。

「大丈夫よ」と美鈴さんを囲んで、しばし蓮見さんの思い出話をしてる皆さん。
なんであの綺麗な人が自ら死を選んだのか……本当にやりきれない。

「蓮見チーフ。なんで死んじゃったんですかー」

美鈴さんの悲痛な叫びが従業員休憩室に響くと、周りのみんなも辛そうに顔を背けた。

「本当にそう思ってんの……」

そんな中、聞えてきた声に振り返ると。

「なによ」
目があったのはよっちゃんと呼ばれてた人。

「ううん。あなたも辛いんだよね」
「どういう意味？」
「だって五十嵐マネージャーのこと……」
「それが何の関係があるって言うの？」


強い語調で言うと、よっちゃんって人は私の腕を掴んで、食堂を出た。
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