Be!渋谷店の事件簿
「お疲れ様でした、五十嵐さん。受付に戻りますね」
「お疲れ様です、美鈴さん。今日のヘアスタイルも素敵ですね」

けっ。

五十嵐奏は変わった。

「五十嵐マネージャー。おはようございます」
「よっちゃん、おはよう」

やたらと愛想がいいから、話しかけてくる女がみんな笑顔。

「あ、新しい人。おはようございます」

よっちゃんって人、今私への挨拶、絶対ついでにしたよね。

「百瀬です。よろしくお願いします」
「ふーん」

頭から足元まで見られてる。これは値踏みされてるな。

「よろしくです。あ、五十嵐マネージャー。どこ行くんですか?」

朝から五十嵐に会うとなんだか不愉快になる。
よっちゃんって子と一緒に正面玄関を離れた五十嵐の背中に、心の中であっかんべぇを思いっきりしてやると、少しだけ気持ちがスッとした。

「百瀬さん」

美しい声に呼ばれ、後ろを向くと、受付の蓮見麗奈チーフが手招きで呼んでいる。

「なんでしょう」
「パンフレットがそろそろなくなりそうだから、補充お願いします」
「パンフレットですね。わかりました」
「渋谷店では私たちが館内に配置していってるの」
「そうなんですか?すみません知りませんでした」
「パンフレットの箱は私たちの休憩室に運んでおいてくれる?」
「わかりました」

仕事に戻ろう。
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