Be!渋谷店の事件簿
「で?どうなんだ?店の様子は?」
「お客様の入りは多い方ですね。営業的には何の問題もありません」
「だろうな。百戦錬磨のテナントばかりだしなぁ」
「はい。ただ、その……」
「なんだ?こいつのことなら気にしなくていい」

真田部長が足立さんをアゴで指す。仲いいな。

「事務所の方が全く機能してません。木村課長も五十嵐マネージャーも、武田常務も、まだ戻られてないと聞きます」

チラリと足立さんを見ると、まっすぐに私を見てる目があったから、咄嗟にそらしてしまった。

「だそうだ。そろそろあいつら解放してやれ」
「そうは言われましても……」
「あいつらがやる訳ねーっつってんだろ?相変わらずおまえは融通が利かないな」

真田部長がイケメン刑事にダメ出ししてる。
これは昨日今日知り合った仲って言うよりも、

「あの!お二人はお知り合いだったんですか?」

私の質問に優しい笑みで答えてくれたのは足立さんだった。

「私が新人の時に真田さんが教育係だったんですよ」

おー。真田部長って本当に刑事さんだったんだ。

「今回の件は真田さんのおひざ元で起こった事。真田さんは既に全容がお分かりなんじゃないかと……」

目で訴える足立さんに背を向ける真田部長。

「まだだ。蓮見の件はおまえが思ってるより奥が深いかもしれねーな」
「と、言いますと?」
「ちっ。くそっ。なんで木村も蓮見もてめーで動こうとすんだよ」

手に持ってたせんべえを投げつけて悔しそうな真田部長。
どういう意味なんだろう。
蓮見チーフの自殺は五十嵐とのことに悩んでってのじゃないんだろうか。
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