Be!渋谷店の事件簿

「百瀬。蓮見と最後に何を話したんだ？」

真田部長の鋭い視線に息が止まった。
悪いことした訳じゃないのに、謝りたくなってしまう。

「真田さん。それじゃ尋問ですよ。俺がさっき話したでしょう。この方は何もご存じなかったって」

足立さんは凄い。
真田部長の険しい雰囲気の中、ほんわりした空気をまとって私の近くに寄って来た。
私は口を動かすことすらできなかったのに

「百瀬。よく思い出してみろ。おまえが何とも思ってないことでも、蓮見にとっては重要だったかもしれねー」

足立さんのフォローも真田部長には関係ないらしい。

「本当に普通の話しかしてなくて…木村課長がまだ戻ってないとか、奥様の由香さんと昔同じとこで働いてたとか……」

腕組みをしながら目を閉じて聞いてる真田部長。

「本当に蓮見チーフは悩まれてるような感じは全くなくて……」
「だろうな」

え？
何を聞かれてるのか分からなくなってきた。
真田部長がゆっくり椅子を回して私に向き直る。

「蓮見は自殺じゃねーよ」
「真田さん！それは口外しないでくださいって…」
「うるせー。こいつは大丈夫だ」

立てつづけに真田部長と足立さんが話し始めて会話についていけないでいると、

「百瀬。よく考えてみろ。蓮見は何かを調べてなかったか？」
「ちょっと待ってください。自殺じゃなかったら、なんで蓮見チーフは亡くなったんですか？」

足立さんが何かを言おうと体勢を変えたその隙に

「コロシだ」

真田部長の鋭い言葉が入り込んだ。