浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

程なくピザの配達がベルを鳴らした。

テーブルの上には3枚のピザ。

さて、どうする?どんな展開になってるかわからないけど届ける?

チラッと優を見る。

「ん?問題ないよ。きっと来るから。」
「え?どういう事?」
「ピザの配達の人、大きい声で『ピザをお届けしました』って言ってたでしょ?あれ、隣に聞こえてるから。万里子さんは壊滅的に料理とか家事全般できない人だから食材は無いし、ピザは木島さんの好物。絶対来る。」

そんな罠を仕掛ける狩人みたいな……

そんなことあるかなぁ。
それだったら自分達で頼むんじゃないかなぁ。
そう思って伝えてみたら、

「あの人、俺の事パシリぐらいに思ってるから、絶対横取りしに来る。」
「まさかぁ……」

そんな大人気ない事します?あの社長が?

「する。今までされてた。なんなら俺が仕事で呼ばれるのは、洗い物させられたり買い物に行かされたりの伏線の意味もあったんだから。ほんと酷いよ。木嶋さんにはさせないのに。あ、透子が木嶋さんと抱き合ってた日だって、俺の部屋に上がり込んできて『なんとかしろ』って命令するから怒ったんだよ。そしたら泣きつかれただけだし。」

「なるほど……って言うか!抱き合ってたって!優こそ万里子さんと抱き合ってたんじゃん!」
「抱き合ってないって。背中さすって宥めてただけだし。」
「嘘だ!」
「ホントだって。ね、万里子さん。」
「万里子……さん?……うわぁ!」

私を通り越して同意を求めた優の視線を辿ると、女社長の万里子さんが木嶋さんに支えられる形で立っていた。




< 102 / 130 >

この作品をシェア

pagetop