浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
絡まる糸はほどけたけれど
左胸を押さえた両手の下はまだドキドキ……いやバクバクと忙しない。
言葉も出ず、壁際へ後ずさりした。
何を言われるか……そもそも酔いは覚めたのか?
万里子さんと木嶋さんを凝視していた私の横に優がスッと立った。
「わかりあえました?」
「……すぐる……誰があんたに宥められたって?」
「あ、それは言葉のアヤですよ。気にしないでください。」
シレッと言い放った優を万里子さんは睨み付け、そして私の方を向いた。
ひぃっ!!
なんか怖いんですけど!
「あなたが……先週幸太郎のマンションにいたのね?」
「……は、……はい……すいませんっっ!」
腰が90度になるほどに曲げ、ガバッと頭を下げた。
「優のマンションで万里子さんとの会話を聞いてしまって!万里子さんのお腹の子が優の子供と勘違いしてしまって、落ち込んで泣いてしまったところを木嶋さんに助けてもらっただけなんです!」
言えた!一気に言えた!エライぞ、私!
「ええ。聞いたわ。ごめんなさい。私こそ、彼女が居るのに仕事以外の事をすぐるに持ち出したりして。
……まぁ、あなたと幸太郎が抱き合ってたのはこの目でしっかり見たのだけれど、『ハグ』ということにしておきましょう。」
うっ……
なぜ?なぜに私だけが責められる羽目に?
ハグしてきたのは木嶋さんなのに……
頭を下げたまま木嶋さんを見ると、顔の前で両手を合わせひたすら謝っている。
ま、いっか……。二人が仲直りしたんなら。
「さっき二人で話し合って、スカイツリーの夢は諦めたわ。」
「……へぇ。そうなんですか?なんでまた?」
「俺達は東京に出ることが夢だったんじゃないからね。俺は万里子が楽しんでくれるのが嬉しくてより良いプログラムで色々作ってたし、万里子は俺に自由にプログラムをしてもらおうと会社作ってくれたし。だから、どこでもいおいかな、と。」
「なるほどね…………え?ちょっと待ってくださいよ。」
「だからこの会社はこのままここで根付かせる事にします。」
私は話の落ちが見えず、優は唖然として口をパクパクさせている。