浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「万里子さん!あんたがスカイツリーのように高く希望を持った、聳え立つ会社にしたいって言うから!……まさか俺、このまま仙台!?」
それでスカイツリー?万里子さん達の希望の象徴ってことか。
「スカイツリーを見下ろす会社にするのにわざわざ東京に行く必要は無いと考えを改めたの。会社の方針が変わるのは仕方ないことでしょう。」
とてもスカイツリーの置物を飾るような夢一杯の人の言葉とは思えない程、冷たく言い放った万里子さんは胸の前で腕を組み社長らしくスックと立っている。
先程の酔っ払いグデングデンはどこいった?
まぁ服はそのままルームウェアですけど。
「会社の方針じゃないでしょう!あんたたちの方針だ!」
「会社の方針は社長の私が決めます。」
「くっそ……やっぱりここは危険だった……」
「……優……」
あまりにも衝撃が大きいようで、頭を抱えた優を見て声をかけた。
「私、優がここに根付いてもそのうち私がここに来るから……」
「透子……俺、間違ってたよ。大学時代からこの二人には煮え湯を飲まされ続けてきたのに、なぜここに来てしまったんだぁ……」
両膝を床に落としがっくり項垂れた優は、舞台上のロミオのようだった。
そこにスポットライトの如く一筋の希望が差し込んだ。
「吉岡は東京と仙台を行き来してもらう。」
今まで黙っていた木嶋さんが決定との如く言い放った。