浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
優はしばらく黙っていた。
そして口を開いた。
「……てことは俺は東京に拠点移してもいいってこと?」
「どっちでもいいわ。仙台でも東京でもその間でも。」
「や!東京行く!絶対行く!」
「…………あんた、どんだけこっちがイヤなのよ……」
眉間にシワを寄せた万里子さんが呟く。
「あんたたちは二人でずっと一緒だからわからないだろうけど、遠距離って辛いんだ!ほとんどの時間仕事してるんだし‼電話でしか話もできないし!もう結婚間近なのに!」
「あ……そうそう、俺達結婚するから来週にでも。式は来月ね。お前も……透子ちゃんも出席してね。」
そうか。纏まったのか。
「よかったぁ~……おめでとうございます」
そう笑顔で伝えたものの、
「あなたに言われるのは複雑だけどね」
あぁ……まだ恨まれている。
まぁ、この先は木嶋さんがきっちりと締めて、私も優と幸せでいれば
きっとわだかまりはなくなるだろう。
「くっそ……俺が先に結婚する予定だったのに……。」
なにやら変なところで拘っている優がいた。
「あ、そうだ。じゃあ私は仕事辞めなくてもいいのかな?東京に来るんでしょ?」
「なっっ!何言ってんの!ダメダメ!結婚したら家庭で俺を支えてよ~」
「古っ!」
「『結婚したら家庭に入れ』だって!わぁ……このご時世であり得ないわ。」
木嶋さんと万里子さんの突っ込みが入る。
二人は心底覚めた視線を優に投げた。
優はそれに居心地が悪くなって明後日の方向を向いた。
「い、いいだろ!…………夢だったんだ……」
「あっそ。だったらしっかり仕事してもらうわよ。仕事取れなかったら減俸だからね。」
「木嶋さんに言ってくださいよ!ソフトの出来が左右するんだから。」
「もちろん。俺も全力でやるよ。守るべきものが増えたんだし。」
そう言って照れながら万里子さんに寄り添った。