浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

そんな幸せそうな二人を見て、優はやっぱり悔しそうに
「そっちも先を越された~……透子……」

急に甘えるように私を見つめた優を無視して

「ほんとに良かったです。万里子さんもお体大事にしてくださいね。」

そう言うと少しだけはにかんで「ありがと」と応えてくれた。

その後「部屋を片付けなきゃ」と、やっぱりピザを持って二人で帰っていった。



私は取り合えず落ち着いたことを喜ばしく思ったけれど、
優はなんだか不貞腐れていた。

「いいじゃん。取り合えず纏まって良かった。」
「……まぁね。ま、良かったんだけど……。あ、次の休みにでも荷造りしようっと。」

急に機嫌が治ってにこやかにアレコレ考え始めた。
「引っ越し業者も押さえなきゃ。この間来たばっかりなのになぁ。」
「え?先に物件見に行かないとだめなんじゃない?」
「いいよ、そんなの後で。」
「えぇ?だったらどこに引っ越すのよ。」
「透子ん家。」
「はぁ?」

私の疑問を他所に、優は「これを捨てて、あ、あれも入らないなぁ。じゃ捨てるか。」なんてブツブツ言ってる。

「うちなんて優の荷物入らないわよ!」
「大丈夫。ほとんど身一つで行くから。そんで、しばらくしたら広めの部屋を探すし。」
「一時的ってこと?」
「そうそう。で、一緒に引っ越そう。」
「え?」
「もう来週から一緒に暮らそうね。あ~楽しみだなぁ」

まぁ結婚するんだし、親には言ってあるから同棲だっていいんだけど、なんだか優の側の事情にかなり振り回されている。

「好きだよ、透子。一緒に住めて嬉しい。」

同棲することをまだ承諾していないにも関わらず、既に決定事項で。
だけど、常に愛を囁いてくれる優に何も言えない。

「俺の荷物が入るように少しだけ片付けておいてね。で、落ち着いたら万里子さんたちより盛大な式をしよう。で、二人の子供よりかわいい子供を作って、誰よりも幸せになりたい。」

そんなに二人に負けたくないのかと、苦笑いしてしまう。








< 106 / 130 >

この作品をシェア

pagetop