浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
やっぱり振り回されています
一週間、仕事が終わると毎日家で片付けをした。
優が来る日を思って。
もうすぐ彼は幸せを連れてやってくるんだ。
もともと片付けが好きな私はほとんど余分な荷物は無い。
だけどもう着ない服や雑貨なんかを少し捨て、優の服ぐらいは入るようにしておかないと。
「さて、今日もやるか。」
独り言を言いながら腕をまくったその時、色気も何もないただの着信音を鳴らすスマホを手に取った。
「ハイハ~イ」
優からだとわかっていつもより高めの声で電話に出た。
「どう?荷物はまとまった?今片付けてるとこなんだけどね。どれくらいの量になりそう?あ、いつ届きそう?」
「…………」
返事がないので不審に思い「?……優だよね?……もしもし?」と返す。
「透子……」
「どうしたの?」
なぜこんなに暗い声を?
「引っ越し業者、万里子さんに取られた……」
「……は?」
「さんざん電話して今週末動ける業者を捕まえたと思ったら、万里子さんがかっ拐っていった~……」
「…………」
なるほど。
ほんとに万里子さんには勝てないんだな。
「木嶋さんと一緒に暮らすんだって言って……他の業者も探したんだけど来月になるって……。しかも万里子さんが『東京で動けるように事務所作るからちょっと待って』って……万里子さん、妊婦で安定期に入るまで動かないよ、きっと……」
「……確かに」
すぐ東京ったって無理だよね。
小さくても事務所やなんらかの準備は必要かもしれない。
「そっかぁ。」