浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「…………ごめん」
心底申し訳なさそうに小さな声で謝る優は、きっと電話の向こうで正座してるかもしれない。
「仕方ないよね。確かにそうだよ。準備とかいるもん。私達、前のめりすぎたよね。」
「でも、俺、行ったり来たりだよ?携帯一個で営業できるし!」
「でもきっと万里子さんはちゃんと足掛かりを作ってあげようとしてるんだよ。その方がやり易いでしょ?」
「……透子は女に優しい……」
散々いたぶられているだろう優には到底考えられないんだろう。だけど……
「木嶋さんと万里子さんの夢の片棒担いじゃったんだから仕方ないよ。万里子さんが安定期入る頃にはこっちで暮らせてるって。」
「いつだそれ……あと2ヶ月ぐらい……?ムリ。俺ムリだ。」
「無理じゃないよ。だってその後はずっと一緒にいられるんでしょ?ほんの2ヶ月だよ?」
「………………ん、そうだよな。」
少しずつ優の気持ちが上昇してくるのが声でわかってホッとする。
「その間にはきっと私の後任も決まって、退職の手筈も整ってるよ。」
「…………うん。」
優を宥めている自分が可笑しくてつい小さく笑った。
「?なに?」
「なんでもないよ」
優が今週末にも来られないのは残念だけど、とても満ち足りた気持ちで通話を終えた。
その後すぐだ。
電話が再び鳴り出したのは。
「三池さん?」