浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
後任人事
『ヤホー!今俺何処にいると思う?』
はぁ?なんだこの電話。明らかに酔っぱらいのイタ電だった。
「知りませんよ」
『冷たっ!冷たいなぁ~……いつもお世話してる上司に向かって!』
「……何かご用なんでしょうか?酔っぱらってらっしゃるようですが。」
『ヒドー!酷くない?』
さっきまでの心暖まる時間を返せよ……とは言えないけど。
『俺さぁ、今飲んでんの!』
「知ってます」
『次行きたいんだけどさぁ。お前、前によく行ってたスナックどこ?』
「……は?」
『だーかーら、お前が行ってたスナック!』
「……教えません。」
『なんで?いいだろ?』
「会社から遠いし。」
『ちちち、今俺は地下鉄○○駅に近くにいる。この辺だろ?前にこの駅で降りるの見たぞ~……』
げ。
マジかよ……ゆかりさんのスナックあるとこだ。
「あそこは……私の憩いの店なので……」
『感じ悪いなぁ……別に荒らしにいこうって訳じゃないだろ。俺、結構良い客って言われてるぞ。早く教えろよ~……』
「…………」
『だったら吉岡くんに聞くか……知ってるだろ?お前の行く店だし。』
「‼ちょっ!ちょーっと待ったぁーーー!」
『……どこ?』
脅しに負ける私。
三池さんは脅してるという気はないんだろうけど……。
「私も!私も行きます!待っててください!」
『え?お前要らないんだけど。』
「いや!私も行きます!」
こうなりゃ仕方がない。
「会員制なんで!紹介します!」
『え~……電話してくれるだけでいいのに……』
とブツブツ言う三池さんを待たすことは承知で、慌てて用意をして家を飛び出した。