浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「あっ!三池さん!」

駅を出てすぐの立呑屋に三池さんは居た。
先程の通話から軽く30分超え。

「おっせ~よ」
ムスッとしている。

「ポンポンとテンポ良くハシゴしてたのに、なんで今更立呑屋で待たないといけないんだよ……」
「すいません……お待たせを……じゃ!すぐ行きましょう!」

終電あるから早く行って早く帰らないと!

ぐいぐいと三池さんの腕を引っ張って進んだ。

久しぶりに来たこのお店……。
ゆかりさんと会うのは「もう来ないで」と言われたあの日以来。

テンションが上がってきた三池さんが、躊躇していた私を無視して遠慮なくドアを開けた。

「いらっしゃいませ~……透子ちゃん!久しぶり!」
私を見てパアッと明るい顔になったママを見てホッとする。
「こちらは?」
「あ、あの……会社の上司を連れてきました。」
「はじめまして。どうぞこちらへ~」
ママがボックス席に案内してくれ、三池さんはその後を付いていく。
私は……店内を見回して、ゆかりさんがこちらを見ているのに気付いた。

ペコッと頭を下げて三池さんに続く。

ママが「もうボトル無いわよ~。どうする?」と言うので
「取り合えずビールください。」「俺も」

「は~い。ゆかりちゃん、ビールね!」

三池さんは
「へぇ……結構落ち着いた店なんだな。」
とキョロキョロしていた。
「透子ちゃんが会社の人を連れてきてくれて嬉しいわぁ。」
「あ、三池と言います。こいつに手取り足取り仕事教えましたぁ。」
「何言ってるんですか……」

会社でより5割増しぐらい軽くて明るい三池さんのテンションに付いていけない。素面だし。

そしてイヤに場馴れしていた。
さすがスナック好き……。
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