浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「きゃあ~誠一くんっていうの?私はね、ミキだよ。よろしくね!」
「よろしくお願いします。」
「や~ん。敬語使ってる~すごい~」

思ったより子供好きのミキちゃんは、誠ちゃんの気を引こうと話しかける。
「お前は……もうちょっと敬語喋れよ……。あ、俺は社長の甥っ子で」
「透子ちゃん、ありがとう。ママに仕事紹介してくれて。ママ、家に居てくれるようになったよ。毎日じゃないけど。」
「無視すんなよ……って俺が紹介したんだっての!」
「まぁまぁ。ヒロ兄、大人気ない。よかったね~誠ちゃん。あ、この人は私の従兄。イトコってわかるかなぁ。三池ヒロヤって言う人ね。」
「おじさんがママに仕事紹介してくれたの?」
「そうそう。って、おじさんじゃないっつーの!」

「ほんと、良かったね。これで寂しくないね。」
「一緒に晩御飯食べたりしてね~。」
ギャーギャー騒ぐ三池さんをそっちのけで、久々の再会を楽しむ私達。

「あ、そうだ。ママがまだこの会社に入る前だけど、俺ちゃんと言ったんだ。保育園のやつらに。透子ちゃん言ってたでしょ?『ママは俺のために頑張ってるんだ』ってやつ。それからしばらくして皆、遊んでくれるようになったんだ。」
「え?そうなの?すごいね!よかったね!」
「うん!そしたらママがお昼の仕事見つかったって!ビックリした~!」

すべてが良い方向に転がった。

「誠ちゃんが頑張ったからだよ。」
「透子ちゃんが言ってくれたからだよ。」
「誠ちゃん……」

涙ぐむ私を子供の誠ちゃんがよしよししてくれた。



三池さんは完全に不貞腐れていて、ビールを煽っていた。
が、「あ」と扉の方を向いて手招きした。
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