浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「や、やだよ。」
「透子……」

幸代さん、なんで優に連絡してくれなかったの~!

「優、あのね!」
そこに都合よく鳴り響いた私の携帯。
ほっとして鞄を漁ると、なんと……カズからだった。

「アイツだな……。貸して」
「あっ!」
「もしもし」

私の承諾も得ず、サッサとタップして電話に出てしまった。
「優、やめなよ。」
取り返そうとした私の手が届かないよう身を捩りながら話続ける。

「こんばんは。吉岡です。この度はご結婚おめでとうございます。あー先日ご依頼いただいた二次会の件ですが、透子はすぐに仙台へ引っ越すことになってまして……幹事のみならず出席も無理かと…………え?はい。」

スマホを一旦離し、ハテ?というような表情をした。

そうして、もう一度耳に当て、目を見張った。

「は?……もしや……せ、先輩……?」

大きく見開いた目を私の方に向け、「……はい。もちろんです。……いや、そんなつもりでは……」
珍しくしどろもどろな優。
ちょっと驚き、そして笑える。

きっと幸代さんが出て、『あんた、私の結婚を祝えないって言うの?』なんて脅しているんだろう。

「がんばります。はい。よろしくお願いします……」

私に切れたスマホを手渡し、ヤンキー座りで頭を抱えた。

「なんなの……透子。」
「………てっきり幸代さんに聞いてるとばかり……」
「アイツの婚約者が先輩とか……。なんで俺の知り合いが透子にまとわりついてるんだ……。」
「ご、ごめんね……。カズと幸代さんの事は、私も知ったとき驚いたんだけど……。」

顔を上げて力ない上目使いで私を見つめた。

「もう……今日一日で寿命縮まったんだけど」

「なんと言っていいのか……」
本当に申し訳ない。


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