浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
ワインを傾けた優の真剣な顔は本当にかっこいいと思う。
乾杯をしようとしたけど、優はサッサとグラスに入れたワインを一飲みしてしまった。
仕方なく私も自分のグラスに口をつけた。
優は二杯めも手酌で乱暴についでいる。
「もう、目が離せないからずっと閉じ込めておこうかな。……無理だけど」
なんてブツブツ言いながら。
「ほんと悪戯っ子だよなぁ」
「悪戯っ子って……」
「あんまり度が過ぎると、俺、マジで監禁するからね。」
「え?まさか。」
「だったら……もう秘密なしね。」
そう言うと勝手にグラスを合わせてきた。
チーンと涼しげな音が鳴る。
「透子に振り回されるの嫌いじゃないけど、焦ってばっかで俺カッコ悪い。」
「……!振り回してっ……?どっちかと言うと私の方が振り回されてるような……」
「まさか」
「それに優は……カッコ悪いとこなんかないじゃん……いつも余裕でさぁ……。私ばっかりジタバタしてるよ……。」
「そんな風に思ってるの、透子だけだよ。」
グラスの縁に付いたワインの滴をペロッとなめた。
その仕草もなんだか色っぽい。
あーぁ。なんでこんなに色気あるんだろう、私の好きなこの男は。
「なに、唇尖らせて。」
無意識に仏頂面になっていた私の額に軽くデコピンした。
「いたっ!……もう、なにするのよ?」
「そんな可愛いことしてもダメだからね。ほんとに先輩の結婚式がタイムリミットだから。わかった?」
「…………」
「なんで黙るのさ!」
私が黙ってるのを優は拒否と受け取ったようだけど、私が拒否反応を示したのは『可愛い』と言われたこと。
そういう表現は私には当てはまらないと思うのに……。
「透子が納得しないと嫌なんだけど、俺はもうほんっっとに限界だからね!」