浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
なんだか余裕をなくしている優を見ると、少しだけ優越感が沸き上がってきた。
「わかってるよ。」
「ほんとに?透子のことだからそのうち『やっぱり結婚やめる』とか言わない?」
焦っている優を見るとほっとする。
私も相当余裕がないんだなぁ。
それもそうだ。
私の婚約者はこの容姿。
そうして仕事だってできる。
いざと言う時、身体を張って恋人を守ることもできる。
不安そうな顔を見つめると、そこには長い睫毛と意思の強い瞳、甘いキスを繰り出す形の良い唇……。
何度だって恋できるんだ。
そんな恋人に少しでも近づきたい。
ずっとそう思ってた。
私は優に少しでも近づけたんだろうか。
もしかしたら足元にも及ばないのかも……と思ってみても、磁石の力に引っ張られるように心が捕らえられるんだ。
「……うん、いい感じ……」
優は、じっと見つめていた私を抱き寄せ、唇を合わせた。
「俺は透子の虜だけど、透子も俺の虜だ。」
座ったまま足を広げ、その間に私の身体を挟む。
そしてもう一度キス。
「もう逃がさないから」
「…………優」
そうして私たちは何度も何度も口づけを交わした。
身体がピッタリと重なり、一緒に溶けてしまう……と思った時、私の胸がものすごい震動をした。