浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「うっ……わ!」
飛び退いた優は自分の胸を押さえる。
すると、私の胸は震動を感じなくなった。もちろん、心臓はバクバクいってるけど……。
「な、なに?」
「……あ、携帯か……あー……っ!ビックリしたぁ……」
優も私と同じように心臓を押さえながら、胸ポケットに突っ込んであった携帯を出した。
「はぁ…………ちっ、誰だよ…………ぁ」
不機嫌な顔はたちまち驚愕に変わった。
「……誰なの?」
「……あー……オフクロ」
お、お義母さま!?
まだ会えてないお義母さま!
私はまだ電話越しの挨拶もしてない……!
「ったく……あーもしもし?」
『すぐる!あんたはもう!全然連絡寄越さないで、どうなってるの!?』
スピーカーにしなくても聞こえてくるお義母さまの声。
かなりのご立腹だ。
優は嫌そうに、携帯を少し離して返事した。
「ごめん。ちょっと、バタバタしてて……。」
『あんたがすぐにでも結婚するみたいに言ってたから今か今かと思ってたのに、なしのつぶてで皆困ってるのよ!』
「ほんと、ごめんって。……困ってるって?」
『そーよ!どこで結婚式するかよ!お父さんはオーストラリアが良いって言ってるし、秀美(お姉さん?)はフランスって言ってて、私はニューヨークに行きたい。どうする?』
「…………え?」
『だーかーら!このままじゃお金出すお父さんの言う通りになっちゃうわよ!とにかく1回帰ってきて!すぐに!わかったわね!』
「……それは困る。わかった。帰るよ、明日。」
そう言って優は通話を終えた。