浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
それを聞いて優もまた笑った。
なんとかお母さんを宥めて、また静かな部屋に二人。
「なんだか皆に邪魔されてるような外堀埋められてるような……だな。」
「そうだね。」
二人で携帯の電源を落とし、笑った。
「私、優に振り回されてるけど、それもまた楽しいと思えるようになってきたよ。」
「よく言うよ。俺の方こそ振り回されてるのに、それもまた……って。俺ってマゾかもな。」
とても穏やかに笑っている。
男にしては可愛くて、男らしい面を兼ね備えた優は私が幸せにしてるのかと思うと優越感。
ヤキモチ焼きなところも、照れたような笑顔も、強引で腹黒いところも…………
どんな優も私に向いてさえいてくれたらすべて愛しい。
「私やっと幸せ掴めそう。」
「えぇ?俺はもう幸せだけど?」
心外だと言いたげに少し眉を潜めたが、すぐに真剣な瞳になる。
「でももっと幸せになろう。」
『幸せにする』っていうのとは違う。
二人でいれたら優は幸せって意味なんだ。それが何より嬉しい。
そして私たちはそのまま床の上で抱き合った。
今までのすれ違いを余りなく埋めるように。
この人にもっともっと近づきたい。そして幸せにしてあげたい。それが私の幸せだと思えるんだ。
明日から怒濤の日々が始まるかもしれない。
だけどそれも幸せの一部。
全ては幸せになるために私たちは進んで渦に飛び込もう。
そしてその先にあるのが穏やかな幸せのはず。
それを信じていられるのは、優とだから。
この道を二人でずっとーーー
ピンポーン
「お~~~い!ヒロくんだよ~~。土産持ってきたから飲もうぜ~~」
「ちょっとヒロ兄、止めなってば~~!こんな遅くに……」
「…………殺してやる」
「優…………穏便にね……」
おしまい