浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「なるほど~それにしても吉岡くんは縁があるわね、年上女と。」

カズが言えば絶対なじられるようなことを平気で言う幸代さん。

「それに、なんで透子ちゃんも彼氏の元カノに関わろうとするかなぁ。同じ男を彼にした経緯で親近感湧くの?」
「そんなわけないじゃないですか。ママが素敵な人なんですよ!」
「だからってそんな店行かないでしょ。もう、止めときなよ。ややこしい……」
「そうなんですけど、誠ちゃんが……」
「その子の事も、母親がちゃんと解決すべき事なんだからさ。あんた、赤の他人でしょう。」

幸代さんのいうことは尤もなんだけど、そんな赤の他人に頼らないといけないゆかりさんは、相当困ってるんだと思う。
未婚で子供を産んで頼る人がいないんだ、きっと。

「割り切りなさいよ。でないと不幸になるわよ。」

と、呪いの言葉を吐く。

「透子は意外に優しいんだなぁ。」
誉められてると思うんだけどムッとする。

「何よ。『意外に』って!」
「いや、ごめんごめん。なーんか、俺だったら自分の事しか考えられねーもん。」
「「………………」」

それもどうかと思うけど。

とにかく、拗れ始めているのは確か。
ここら辺りでなんとか修正しておかないとダメだよね。

「週末行って、ちゃんと話してきます。」
「まどろっこしい!今!『やるのは今』でしょっ!」

どうしても今すぐ白黒はっきり付けたい幸代さんらしい。

「でも、仕事あるし。」
「……有給とりなさい。それで、電話取りなさい。」
「は?」

指を刺された先を見ると、私の鞄が振動している。

「ずっと鳴ってるようだけど、酔って気付いてないでしょ。」

というより、出たくなかったからマナーモードにして鞄の底の方に押し込んであったんだった。

「帰ってから電話しますよ。」

すると鬼の形相で「だーかーら、今‼」

私は仕方なく通話することにした。
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