浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「なるほど。あの嫉妬深~い吉岡くんが、愛する彼女と飲んでる男の幼馴染みに怒ったわけね。」
幸代さんは「納得」とフムフム頷いている。
超冷静。
「あいつ、俺が透子を狙ってると思ってるんだ!そんなことは天地がひっくり返ってもないのに!」
「ちょっと待て!あんたの初恋は私じゃなかったか?!
それは私の台詞よ!失礼なっ!」
「いや、あんたたち……そこどうでも良いとこでしょ…」
幸代さんの冷静な突っ込みにも動じないカズ。
「年下のくせに!なんであいつに『お前』呼ばわりされなきゃならないんだよ!」
「それは、ごめん……」
「透子が謝ることないんだよっ!あいつ~会ったら只じゃおかね~!」
「吉岡くん、昔空手やってたって。」
瞬時握りあげた拳を下ろしたカズ。
いまだに「泣き虫カズ」は健在のようだ。
「でも、吉岡くんもヤキが回ったわね~」
「…………です。」
「家に帰ったら電話しなさいよ。」
「……はい。」
「じゃ、解散!大将、お勘定!」
「あ、私払います。」
「当たり前でしょ。」
どこまでもシビアで厳しい男前の幸代さんでした。
優のキレ具合にちょっとマズイと思った私は、「最短で帰れ」と言う幸代さんの言に従ってタクシーに乗り込んだんだけれど。
タクシーの中で
「お前、どこにいるんだよ~ぅ。早く帰れよ~。
お姉ちゃん口説いてる最中にストーカーからしつっっっこい電話かかってくるんだよ~!
俺を巻き込むなっつってんだろがよ~……」
なんて泣きの電話が三池さんから入って、本当に申し訳ないなと思った。