浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

ガラガラガチャーン!
ドンッ!ガンッッ!

何かがひっくり返ったような大音量に、一瞬で現実に引き戻された。

バクバクと鳴ってる心臓の音が喉の奥から聞こえてきそうだ。

優は身動きせず、ブラとショーツに手を入れたまま固まっていた。

あの、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!

「すぐ、る……あのっ……」
と、胸にある優の手にそっと触れる。

「ごめん。」
そう言うと、スッと両手を引いた。

え?そういうつもりじゃなかったんだけど……

「ちょっと見てくる。」
そう言うと、玄関まで急ぐ。

え?これ?生殺しってやつ~~~っっ!!
 
呆然としてる私にドアを開けながら
「俺が出たらすぐ鍵かけて。」
そう言ったすぐ後、
開けたドアの隙間に女が走っていく影が見えた。
黒いサラサラストレートヘアを靡かせながら。
「あ」

優も肩越しに振り向いて
「万里子さん!?」

優が彼女を追いかけようと手を離した途端、ドアがゆっくり閉まっていく。

そしてバタバタと足音が遠ざかっていった。

何がなんだかわからないまま立ちすくむ乱れた服装の私の前で、無情にもカチャリとドアが閉まった。
< 29 / 130 >

この作品をシェア

pagetop