浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
あれ?もう11時?
確か私がここに着いたのは10時前。
モロモロあって優が出てったのは10時半。
30分も帰ってきてない?
何してるんだろう……。
そもそも、あの時の隣の大きな音はなんだったんだ?
なんだかフライパンやら鍋やらひっくり返したような……
そこまできてある思いが頭を掠める。
私の声が聞こえたとして、それを聞いてフライパンをひっくり返すような動揺をした、とか?
それでフライパンをひっくり返す程の動揺って……
もしや……
もしや!
あの女社長は「優が好き」とか?
あり得る。めちゃくちゃあり得る。
だって、再開した途端自分の会社に好条件で引き抜こうとするなんて、あ~り~得~る~!
自分の家の隣に引っ越させて、夜中まで土日まで同じ職場で……。
モワモワと嫉妬心と、彼女への怒りがこみ上げる。
「渡すもんか!」
と拳を振り上げてみる。が、そう言えば優はまだ帰らない。
あれ?それで彼女を追いかけるって、どういうこと?
私、有給取ってまでここに来てるんですけど。
私って、もしかして痛い子?
彼氏に「上司だから」とか「仕事だから」とかで丸め込まれて、浮気し放題……とか?
いや、あり得ない……はず。
だって浮気者だと思ってた優は、実は浮気なんかしてなかったんだって知ったんだ。
そしてちゃんと優を信じるって決めたんだ。
だから
早く帰ってきて
一人静かな部屋でひたすら祈った。