浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
『アレ』って……なんだ?
未だに後ろから口を塞がれ、身動きの取れない私は三池さんを目だけでチラッと見た。
「最近、平日はどこかへ寄ってたりするよね~。」
後ろめたい浮気というものは一切ない。
ただ、自信満々の三池さんの様子が私の胸をざわつかせた。
「彼氏が遠方で会えないからって誰と会ってるんだか。」
私は口許の手をひっぺがして、三池さんから逃れた。
「何を言うんですか。私だって友達と会ったりしますよ!」
「友達~へ~。……誰?」
「なんで三池さんに報告しないといけないんです?」
「吉岡くん、心配してるよ~」
「心配してても、友達付き合いに文句言ったりしないですよ。」
「あ、そう?最近T駅で見かけたんだけど、それも友達と?」
「え?」
T駅。
それはママの所だ。
別にやましいことはないが、優にはまだなにも報告してない。先に三池さんから言われちゃうと……非常にややこしい。
「知り合いの店に顔出してるんです。」
「知り合い?それ、居酒屋?バー?」
「……スナックです。あ!別にそこでバイトとかしてませんからね!純粋にお酒を飲みに行ってるだけです。」
三池さんが考えそうなことを先もって否定したが、それが仇となった。
「スナック?俺も行きたい!連れてって~!」
「嫌ですよ。一人がいいんです。」
「…………アヤシイ」
「ほんとですって!」
「だったらいいじゃんー!行こうよ。俺、奢っちゃうから。」
後ろでヤイヤイ言ってる三池さんを放ってデスクにつくと、それ以上は彼も寄ってこなかった。
あ~ヤバかった。
こうなったら早めに優に言わなきゃな~と思いながら今日も応募がなく終わった。