浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
私の悪い癖

それでもたっぷり愛される夜を過ごし、心が満タンになった。

今日は優が仙台で牛タン食べに連れていってくれるらしい。

社用車を使っても良いらしい優は車を取りに先に出て、私はその後に外に出た。

仙台はまだ寒く、昼過ぎでもひんやりしている。

優は前の会社を早めに退職してすぐに仙台に来た。
そして引っ越しが終わると同時に朝から晩まで新しい会社で働いている。
土曜も出社しているから東京に帰ることがなかなか出来なくて、私がここに通っているのだ。

優はそれを歓迎してくれて、貴重な休みを私の為に惜し気もなく使ってくれている。大抵、朝からあちこちと連れて行ってくれるのだ。

疲れているだろうに……

こんなこと、あと1年も続くのか。

先の見えない不安に押し潰されそう。
また訳のわからない理由で浮気じみたことしなきゃいいけど。

ぼんやりと部屋の鍵をかけて、マンションの廊下を歩いた。

すると隣の部屋のドアがガチャッと開いた。

瞬間そちらを見ると、ストレートの黒髪で、ハイセンスなグレーのスーツを着こなしたスレンダーな大人女子が出てきた。

美人だなぁ~

心の中で呟きつつペコッと頭を下げると、
「あら。おはよう。」
なんて言われた。

「え?お、おはようございますっ!」
完全にキョドってしまった。

私は突然挨拶されてドキドキしながら平静を装ってエレベーターに乗った。
そして後ろからその美女も乗ってきた。

変な空気は私しか感じてないみたい。

なるほど、仙台は近所付き合いも盛んなんだろう。
独り暮らし用のマンションでも隣の人に挨拶したりするんだから。
東京では考えられないな。

そんなことを考えてると一階についた。
ボタンを押して「どうぞ」と道を開けた。

「ありがとう。」
にっこり笑いかける彼女はやっぱり美人。
こんな美人が隣の部屋とか嫌だなぁ……
寂しい優が浮気しちゃったりして……
でもまぁ、幸代さんみたいなタイプだけど。

そんなことを考えてると閉まるドアに挟まってしまった。

「きゃっ!!」
驚いて振り向いた美女は「大丈夫?」と声をかけてくれたが、恥ずかしくて返事もできなかった。

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