浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
お風呂から上がると優からの着信に気付いた。

「誠ちゃん。シュークリーム食べといてくれる?電話していいかな?」
「……いいけど」

黙々と食べる誠ちゃん。なんだか怖い。

でもまぁ取り合えず優に電話をかけることにした。

『透子、今日はどうしてる?』
「あ、今ね……知り合いの子供のところ……」
『え?また?』
「あ、うん。かわいくて、つい来てしまった。」
ハハハと笑って誤魔化す。
『何ていう人の子ども?』
「えと……なんだっけ?」
『そこには知り合いの人もいるの?挨拶したい。』
「……えっと、いないの。その子だけ。」
『何歳?』「5歳」『替わって』

え!?また!?
前もカズと替わって喧嘩してたような……。

「それは、ちょっと……」
『いくらなんでも幼児と喧嘩したりしない。早く!』
「わ、わかった……あの、誠ちゃん……?」

誠ちゃんに話しかけると、こちらも何やら気難しい雰囲気だった。
「なに?」
「あの……誠ちゃんと話したいって言う人がいるんだけど……いい?」
「……ダレ?」
「あ、さっき話してた私の結婚相手のおじさん……」

携帯をスピーカーにして差し出すと、引ったくるように奪われた。

「はい、もしもし。」
『はじめまして。藤原透子と仲良しの"よしおかすぐる"と言います。名前聞いてもいい?』
「……"いちはらせいいち"です。」
『せいいち君?……いちはら?え?』

あ、しまったぁぁぁ!
こんなバレ方してしまう!?

『ママの名前聞いてもいい?』
私は誠ちゃんの前でブンブンと頭を振った。

誠ちゃんは『?』な顔をして黙りこんだ。

『せいいち君?』
「……なんで?」
『や、もしかしておじさんの知り合いかな……と。』

私はブンブンとまた頭を振った。

「違うみたい。」
『もしかして"いちはらゆかり"さんじゃない?』

私は慌てて携帯を引ったくった。

『透子に替わってくれる?』
オソロシイ電話からの声を二人で聞いた。

「優、あのね?」
『どういうこと?なんでゆかりさんの子供に会いに行ってるわけ?』
スピーカーもOFFにしたくても、焦ってなかなか操作できない。

「おじさん!透子ちゃんと結婚しないで!」
私の横で声を上げた誠ちゃんにビックリ。
『……は?』
「透子ちゃんは俺と結婚するから!大切にするからおじさんは違う人にして!」

な、何を言い出すの~!

『コノヤロウ……ガキだと思って……』
「す、すぐる!相手は子供だからっ!」
「とにかく透子ちゃんと結婚するのは止めてよ!」
「誠ちゃん、黙ってぇ……」
『透子!なんでこんなことになってる!?今すぐ迎えに行くぞ!』
「優もなんで子供相手にそんな……」

完全に困り果てた。
子供と彼氏の喧嘩。これはどうしたらいいものやら。
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