浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「と、とりあえず!明日また夜に電話するから!ごめんねっ!」

そう言って電話を切った。電源も落とした。

後で来るオソロシイ嵐を想像したが、今は誠ちゃんの前で言い合いになる訳にはいかない。

「ふぅ……」
その様子を見て誠ちゃんはしょんぼりしていた。

「ごめんね、透子ちゃん。」
「こちらこそ、ごめんね、大人げない大人で……」
「あの人が透子ちゃんを連れてっちゃうと思ったら……」

そんな誠ちゃんに胸がキュンとなる。

「誠ちゃん……」
「透子ちゃんを困らせるつもりはなかったんだ。」

上目遣いで私をじっと見る誠ちゃんに完敗だ。

「困ってなんかないよ。嬉しいよ。」
「本当に?」
パアッと明るくなったその表情に私の心も晴れるよう。

「さ、シュークリーム食べたから歯磨きして寝ちゃおう!」
「寝たら帰る?」
「ううん。今日も泊まる予定だから。」
「ホント?やったぁ!」

誠ちゃんと過ごすこの一時が楽しければ楽しいほど、後に来る優という名のタイフーンが恐ろしく感じたけれど。

今は忘れよう。
多分鳴らされているだろう携帯も、遠く離れてる優も。

無理矢理心の奥底に沈めることにした。
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