浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
着信拒否にされた優は、今頭が沸騰するくらい怒っているだろう。
そして、目の前の誠ちゃんもムッツリしている。
私は何をどうしたらいいのかと困惑していた。
そうするとまた着信音が鳴った。
助かったとばかりにとりかえしたスマホを覗くと知らない番号だった。
「はい?」
『透子っ!なにがあったっっ?』
「え?す、すぐ、る?」
『繋がらないから公衆電話から掛けた!何?何かあったのかっっ?』
こんなに心配してくれて、ちょっとジーンときた。
完全にこちら都合なのに、わざわざ家から飛び出して今はあまり見かけない公衆電話を探したのか。
「大丈夫。あのごめんね、操作ミスで着信拒否になっちゃっ……あっ、誠ちゃん!」
またもや幼児にスマホを取られた。
「透子ちゃんは寂しいからここに来てんの。おじさんがいつも透子ちゃんと一緒に居ないから寂しいんでしょ?電話ばっかりの癖に縛り付けたらダメだよ。だから、二人で楽しくやってるからね。」
…………わぁ……スゴイ、大人なみたいな言いぐさ~……じゃない!
呆然と誠ちゃんのセリフを聞いていたが、我にかえる。
な、なんて事を~~‼
また拗れる拗れる~ぅ。
一人ワタワタと焦っていると、最後の締めの一言が。
「俺たち二人で楽しくやってるから。そちらはそちらでお楽しみください。」
長押しして電源を落とした。
それを聞いていた私はしばらく氷のように固まっていた。
誰だ?誰が幼児にこんな言葉を教えた?
いや、普通なのか?最近の子供はこうなのか?
誠ちゃんを見つめていると、スマホを床に落としてニヤリと笑った。
「この間、ドラマでやってたんだ~」
その表情はすでに保育園児ではなかった……。