浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

さすがは母親と言うべきか。
私がどんなに探しても見つからなかったスマホを、ゆかりさんは戸棚と壁のスペースからなんなく探しだし、私に渡した。

「……ありがとうございました。」
「こちらこそ……。本当にありがとう。すぐると仲良くね。」

そう言われて私はその家を出るしかなかった。

泊まる用意をしてきたバッグは行きよりもはるかに重く、引きずりたくなるほどだった。

夜空に浮かぶ月は私を見守っているようだけど、気を使ってかそれ以上近づいてくることもなくそれがまた悲しさを呼んだ。

「……用なし、か……」

そう呟いて初めて私は、誰かに強く必要とされたいと願っていることに気付いた。
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