浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
ナンパ男、再び!
ゆかりさんに「もう来ないで」と言われ、完全に落ち込んだ。
「はぁ……」
昨日の夜から数えきれない何度目かの溜め息が一人の部屋に響く。
なんか無性に優に会いたくなった。
私を愛してくれる優。大事にしてくれて直ぐにでも結婚したいと言ってくれた優。
代わりのきく仕事より、ゆかりさんと誠ちゃんより、大事にするべきは優だったんだ。
そうだ。仕事は来月にも辞めよう。
後のことなんてなんとかなるもんだ。
会社は一人いなくなったくらいでそれなりに回るもんだ。
なんでそれがわからなかったんだろう。
会社に迷惑かけたくない、私が急に辞めたらミキちゃんが困る、そんなことを思って優を後回しにしてきたんだ。
ゆかりさんのところから持って帰ってきたバッグをそのままひっ掴んで、玄関を出た。
少々疲れていたけれど、新幹線に飛び乗った。
まだ朝の10時過ぎ。だけど車内は結構埋まっていて、車両を跨いで座る席を探した。
前方の奥の方に空いてそうな席を見つけて向かうと、
「あれ?ちょっと、キミ~」と後ろから声を掛けられて振り向く。
「げっ」
窓際に立って手招きしているのは、先日新幹線で出会ったナンパ男だった。
「ここ、ここ空いてるよ。」
自分の席の横をポンポンと叩いた。