浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

4個入りのマカロンを二人で食べ終えてしばらくすると、仙台に着いた。

二人でホームに降り立つ。

「俺、名刺無くなったから~」

メモにサラサラと何かを書いて渡された。

「それ、俺の連絡先だから。」
「え?」
「ま、連絡したくなったら電話して。いろんな話したいし。」
「えぇっ?いや、私は……」
「気が向いたら……ね!じゃ、楽しかったよ!次は名前ぐらい教えてね~」

と去っていってしまった。

押しが強いのか弱いのか。さっぱりわからない。
だけど、私は名刺をもらった時とは違って、そのメモを捨てることはしなかった。
マカロンをもらった恩義からなのか、それともこの一時間が思いの外楽しかったからか、それはわからないけれど
メモを捨てるのは薄情な気がした。

『木嶋 幸太郎 090-×××-××××』

「きじま……さん?」

きっと連絡を取ることはないこの電話番号は、私のスマホには登録されずにカバンのポケットに突っ込まれた。
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