浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
私は軽く化粧をして、外に出れるぐらいの顔にしてからリビングに戻った。
「あのぅ……ありがとうございました。とんだご迷惑を……」
「あれ?シャワー浴びても良かったのに。飲む?」
リビングに座ったままの木嶋さんは缶ビールを差し出した。
「いえ、私……帰ります。」
「帰るって?この近く?」
「え?いや……東京へ」
「ま、いいけど電車なら一本ぐらい飲んだら?お酒だめ?」
「そういうわけでは……」
「じゃあいいでしょ?」
ビールのプルタブを開けた。
開けられたら飲まないといけない……
困ったな……と思いつつ、迷惑をかけまくってるのは自覚済みなのでそれを受け取った。
二人でテーブルを挟んでビールを飲む。
変な感じ。
まだ昼過ぎだ。早く飲んでお暇しなければ……そう思って空腹を満たすためにグビグビとそのビールを煽った。
「いけるね」
「え?」
「一緒に飲んでくれて嬉しいよ。彼女、最近一緒に飲まないんだ。なんかダイエットとかでさ。」
ダイエットかぁ。しなくちゃなぁ。お腹減ってるから今ならステーキ300グラムもペロッといけそうだけど。
いや、違う!
「すいません!彼女さんもいるのに部屋に入っちゃって!」
「ハハハ。今さら。大丈夫だよ。今日は仕事詰めてるし。」
そういう問題ではない。
「あ、ポテチ食べる?」
「あ……はい。」
お腹が減りすぎて、ついそう返事してしまった。
ポテチを取りに行く木嶋さんの背中を見て、そのままぐるっと部屋を見回す。
結構広い部屋だ。
マンションとしてはなかなか広いし値段も高そう。
だけど、家具がほとんどなく、パソコンが鎮座したローテーブルとソファぐらい?テレビもないし、変な空間だ。
「あ、何にもないでしょ?」
ガサガサと袋を明け、私の前に袋ごと置いた。