浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「ここは仕事場と兼ねてるから。隣の部屋にベッドもあるけどほとんど使わないな。」
「ずっとここに居るんですか?」
「あ~たまに出張に東京まで出るけどね。ほとんどないよ。情報は専らこのパソコンの中。食事はコンビニと彼女が持ってくる松花堂弁当。」
彼女が持ってくる……手作り弁当じゃなくて、松花堂?
「彼女、家事一切ダメだから。」
なるほど。で、この家もモノは少ないながらも雑然としてるわけだ。キッチンのコンロはホコリ被ってそうだし。
木嶋さんはガサガサとポテチの袋を漁りながら左手に持ったビールの缶を煽っている。
なんて色気のない二人。
これでは男女になり様がない。
目の前のテーブルにあるビールとポテチのクズを見ながらしみじみとそう思った。
なのに。
「で?疲れるほど泣いて、お酒も飲んで、眠れないなら俺が慰めようか?」
「……は?」
「どういう慰められ方がいいかな?埃っぽいけど隣の部屋のベッドでもいいし、君が良ければこの広いソファでも。」