浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
ナンパ男の本音
ショックと泣き晴らした疲れを癒す時計の音が、私の瞼を重くした。
いつの間にかウトウトしていたなんて。
私ってどこまで図太いんだろう。
再び目を開けたのは日も落ちる頃だった。
薄暗い部屋の中には他の人の気配は無かった。
壁掛け時計も無く、鞄の中の携帯を取り出して見ると5時を過ぎていた。
「どこまで追いかけたんだろう。見つかったのかな……」
そして「もう帰らないといけないのに」なんて身勝手な思いが過る。
そういえば優はあれから彼女といるのかな。
今日は電話くれるのかな。
そして何を言われるんだろう。
覚悟をしておかないと……
と考えると、また涙が込み上げてくる。
私って優のことがこんなに好きだったのか。涙脆くなるほどに。
自分から別れを切り出したこともあったのに。
それとも幸せを目の前で掠め取られた事が悲しいのか。
今から新幹線に乗って帰らないといけない事を、体力的にも精神的にもきついと感じる。
だけど私は社会人。
明日には出社しなければ。
いつでも帰れるように、腫れた目の回りを念入りに化粧を施した。
そこに、玄関を開ける音がした。