浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
あぁ……ビックリした。
まさか今、優から電話が掛かってくるとは。
8時ぐらいかなと思ってたから本当に驚いた。
朝の深刻な雰囲気なんて微塵も出さない優の声色は見事だ。それともあの明るい雰囲気から一転、深刻な話題を出すのか。
木嶋さんの言ってたように、今の私もまた百面相になってるのだろうなと思いながらも、それを咎める人は周りにいない。
躊躇することなく深いため息をついた。
心身ともに疲れきってようやく家についた。
あぁ。落ちついたら優に電話しないといけない。
そう思うと、決着を引き伸ばしたくてシャワーに向かう。
メールも届いていたようだが、無視だ。
体だけはスッキリしたら、ようやくラグの上に正座をして携帯を構えた。
何て言われるんだろう。
彼は電話なんかで私との関係を清算するつもりなのか。
いや。ごちゃごちゃ考えてても始まらない。
少しの胸の痛みに気付かない振りをして優にかけた。
『遅かったね』
二時間近く経っていた。
『どこか出掛けてた?』
「あぁ……うん。」
ちょっと仙台まで、優に会いに。
『……?どこかは言わないんだね。』
まるで私を責めるような口調にイラッとする。
「言うと終わっちゃうから」
『え?』
「優は今日仕事だったんでしょ?」
『……うん。打ち合わせ……にならなかったけど。一応。』
「……そっか……」
沈黙が流れる。
『……で?どこいってたの?』
「…………」
『俺に言えないとこ?』
「………………ちょっと遠出。」
『透子?もしかして怒ってる?』