浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

私が今日過ごした一日を振り返る。

怒るというより、悲しい。
どうして優はこんなに平然としてられるの?
万里子さんのために、穏便に終わらせるつもりなんだろうか。
私だって取り乱すつもりはない。
起こってしまったことは仕方がないんだ。だけど、どうしても優と彼女とのやり取りが頭から離れない。
そしてモヤモヤと同時に怒りが込み上げる。なのに、

『……ごめん。いつも仕事ばっかりだもんな……』
そんな言葉で私を慰めようとするのか。
『愛想つかされても仕方がないと思ってるんだ……』
そんな風に私から離れようだなんて。
「ズルい。そんな風に言われたら何も言えなくなる。」
本当に卑怯だ。
仕事を盾にするなんて。

『……ごめん。ほんとに……』

優。私は知ってるんだよ。
そんな芝居しなくていいのに。
優に「別れてほしい」と「悪かった」と言ってもらえれば、殴っちゃうかもしれないけど最後は別れてあげられるのに。
まるで忙しい彼に愛想がつきて、我慢できなくなったダメ婚約者に仕立てあげないでほしい。

バカにされたみたいで、腹が立った。

『来週…………』
「来週?」
『…………』

なんだろう、この間は。
もしかして私に「行く」と言ってほしいのか。
交通費の問題ではないけれど、もう何度も行っている。
次行けるとしたら給料日後だ。2週間後。

『…………行くから』

そりゃそうだ。
別れ話したいならそっちが出向くべきだ。少しの誠実さはあったのかとホッとする。

「……わかった。」
『透子……?怒らないで……』
「大丈夫。怒ってなんかない。仕事頑張って。応援してるから。」
私の間髪入れない単調な返答に怒りが見えるようで、優はたじたじだった。
だけど、彼も今すぐどうにかすることも出来ないのがわかっているのか、それ以上なにか言うこともなかった。

優なんか困ればいい。

でも、一週間後に引き延ばされてしまった。
あぁ……モヤモヤする。



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