浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
大人な子供
土曜日、早くとも夕方になるだろう優を部屋でじっと待つつもりはなかった。
洗濯機が回っている間に掃除機をかける。
今日は忙しくしていないと待ってる時間が過ぎないんだから。
優に会ったらまず夕飯かな……
最後かもしれないから優の好きなものばかり作ろう。
でも、ゆっくり食べる余裕は今の私には無いかも……。
だけど優と別れ話なんてしたら、そのあとご飯なんか食べられないし、お風呂にも入れないだろう。
きっとずっと泣きっぱなしの夜になりそうだ。
そのあと優は泊まるところあるのかな……
ビジネスホテルに泊まるのかな……空き部屋あるといいけど。
なんて、その後の優の心配までしてしまう。
ブオーッと掃除機の音に気付き、「おっと」と慌てて腕を動かした。
そして昼過ぎにはトイレや風呂場までピカピカに。
思った以上に部屋がピカピカになり、仕方なく夕食と来週の分の作り置きおかずを作ることにした。
時間を潰すためと圧迫気味の家計のため、遠い激安スーパーに出向き、片っ端から食材をかごに入れていく。
四人家族か?というぐらいに大盛りの食材たち。
「買いすぎた……」
根菜たちも入っていて、異様に重たい。
つい公園に寄ってベンチに座った。
「ふぁ~遠いよ……」
この二袋にに及ぶ大荷物をまだまだ持って歩かないといけないとは……失敗。
だらっとベンチに座り込んでいる私の前に小さな靴が止まった。
視線だけを上げる。
「…………あ……」
そこには偉そうに腕を組んで目下ろしたような格好で幼児が立っていた。