浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「誠ちゃん……」
「今週来てくれなかったじゃん。」
怒ってるというより不貞腐れている誠ちゃんに、申し訳なさと同時にとても嬉しく感じた。
「……ごめん、ね」
「来ると思ってたのに」
「……待っててくれたの?」
「…………」
「ごめんね……」
「いーよ、もう……」
そう言ってちょこんと私の横に座った。
「……一人で遊びに来たの?」
「あーうん。いつも、そうだから。」
「ゆかりさんは……?」
「寝てる」
そっか、日曜だもんね。昨日も遅かったのかな。
「ジュースでも買ってあげよっか?」
「月曜日にさ……」
「……うん?」
「みんなに言ったんだ。ママのこと。」
ママは俺のために頑張って働いてんだ。イヤラシイ事なんかしてないんだ。
そう誠ちゃんは皆にキッパリ言ったらしい。
「みんな……じゃないけど、わかってくれるヤツもいて……」
「そっか……」
頑張ったんだね。私は隣の誠ちゃんの頭を優しく撫でた。
こうやって、少しずつ誠ちゃんを理解してくれる人が増えていけばいい。そうすればきっと寂しくない。
自分で道を開いた誠ちゃんがとても大きく見えた。
「透子ちゃんのおかげ。」
その言葉に泣きそうになった。
誠ちゃんは私の顔を横から覗き込んでニコッと笑った。
「また遊びに来てよ」
「……うん。……そうだね。」
ママから止められてます、なんて言えないし。
かといって嘘つくのも憚られる。
私の返事はとても曖昧だった。
「……ダメなの?」
そんなわたしの言葉を賢い誠ちゃんはスルーしてくれる筈もなく。
「いや!そういう訳じゃ!うん!ま、また今度!最近忙しくって……」
「……結婚するから?」
「……う……うん、まぁ……」
「そっか……やっぱり結婚するんだ……」
結婚したかったんだけどね……
私たちはまるでお通夜のような雰囲気で、ガックリと肩を落としたまま座っていた。