浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
しばらくそうしていて、私は買ってきた商品を思い出した。
冷凍物こそは買ってないが、生鮮品はいくつか。
早く帰って冷蔵庫に入れないと!
「あ!誠ちゃん、ごめん!私、帰らないと!冷蔵庫に入れないと悪くなっちゃう!」
「あ、うん。」
誠ちゃんはスクッと立って、私を振り返る。
「結婚して家族になるのってすごく幸せにな事なんだってママが言ってた。だからお祝いしてあげないといけないんだって。」
「え?」
「ママは結婚しないで俺を産んだけど。家族ができたから幸せなんだって。
透子ちゃんは結婚して幸せになるんでしょ?」
「……誠ちゃん……」
「だから、おめでとう。……ちょっとヤだけど……」
そう言って走って行ってしまった。
気になってた生鮮品をベンチの上に置いたまま、しばらくそこでボーッと座っていた。
その場から立ち上がれずにいた。
そうだ。私は幸せに満ち溢れていたんだ。
それが力の抜けた手足の先からこぼれ落ちていくのをただ感じているしかなかった。