浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「あ、あの……これはね……」
そこで私のお腹がぐぅ~と鳴る。
な、なんて空気を読まない腹の虫!
恥ずかしくて真っ赤になった私に、優は冷たく言い放った。
「俺が状況を把握するまでメシは抜きね。」
「…………ハイ」
胃の辺りを擦りながら項垂れた。
「俺の質問に答えて。木島さんとはいつから知り合い?」
「最近……偶然仙台からの車内で。木島さん、恋愛シミュレーションの構想が上手くいかなかったみたいで、いろいろ聞いてきて。」
「あの人……なにやってんだ?ナンパだろ!透子もそういうの、ちゃんと線引きして!」
「あ、ハイ……」
「で、マンションに居たのはなんで?」
「優が……万里子さんと妊娠の話してて……。勘違いしたのは私が悪いけど、優だって抱き合ってたじゃん!だから誤解したんだもん!」
「質問に答えられてないよ。木島さんの所に居たってことは、透子が連絡したってこと?連絡先知ってたんだ?」
「ちがっ!たまたま出会って!泣いてる私を連れてって泣かせてくれたの!」
「……ふぅん。たまたま、ね?」
「ほんとだよ!木島さんに聞いてよ!」
「で、なんで抱き合ってた?」
「……えっと」
言い及んでいると、優は携帯を取り出した。
もちろん、鬼の形相だ。
「弱ってる透子に付け入ったって事だよな。アイツ、殺す!」
「わーわー!違います!」
違わないかもしれないけど。
これ以上拗らせては優の将来にも関わる。
ひいては私の将来も!
「木島さんは、優しく慰めてくれただけ!なんにもないから!」
「そんなこと、信じられる?だいたい、ほぼ知らない男の家に上がって、押し倒されてもおかしくないだろ!」
「押し倒されてないから!そんな人じゃないでしょ!?」