浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)


「ま、あとでゆっくり聞く。取り合えず、木嶋さんが来る前に着替えてくるわ。透子は万里子さん見ててくれる?」
「りょ、了解っ!」

機嫌を少し損ねた優は隣の自室へと行ってしまった。

目の前に横たわった万里子さんを見ると、無邪気に眠って……いや、かなり苦しそうな顔だ。

辛いんだろうな、いろいろと。
その事に関しては私も一枚かんでいるため、……いやトドメを刺したのだからなんとも苦い。

服を汚されてしまった優は気の毒だけど、吐いてくれてまだ良かった。
少しでもアルコールを体内から出さないと。
妊娠初期の飲酒が、妊婦や胎児に与える影響はどんなもんなんだろう。

早く起きて、一刻も早くお水を飲んでくれないだろうか……

万里子さんの寝ている辺りをティッシュで拭き、床に散らばった缶をその辺に捨てられていたコンビニの袋にまとめた。

「あ、そうだ。……失礼しまーす……」
と、奥の寝室らしき部屋に行き、掛け布団を取りに行った。

優の部屋と真逆になっているが、間取りは同じ。
優のスッキリした部屋とは違い、結構雑然としている。
すべて仕事の資料やらグッズやらだろうけど、
置き方がまちまちで、散らかって見える。

だけど、その中で目を引いたのは東京スカイツリーのまぁまぁ大きい模型の置物だった。
それは大切に飾られているのはわかった。

違和感……

なぜに東京スカイツリー?

エッフェル塔とかじゃなくて、おのぼりさんが買うような(いや、買わないだろう)模型が?

行った時につい買っちゃったとか?

よくわからない。万里子さんの頭の中。

困惑しながら掛け布団をベッドから引っ剥がし、万里子さんの元へ戻った。




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