浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
「万里子っっっ!!」
ガチャーンというドアの開く音と共に、木嶋さんが前のめりにこちらへ向かってきた。
「……木嶋さん!……早かったですね……」
「あっ!っっ……えっと!万里子はっ!?何で倒れたって?」
私の両肩を掴み、がくがくと前後に揺さぶった。
その後すぐに万里子さんに駆け寄り、抱き起こそうとした。
「木嶋さん!……そうっとしてあげて……!酔ってるだけ……だと思われます。」
「……酔う?……倒れたんじゃないの?」
「いやぁ……倒れたようなものなんですけど……メチャクチャ酔ってて、吐いた後意識が途切れました。」
「吐いた?万里子は酒には強い筈なんだけど…………?」
万里子さんをそっと床に寝かせ、私を見た。
「そういえば、なぜここに?」
「…………ですよね。」
「万里子を知ってる?」
「……そうなんです。」
「もしかして、わざと俺に近付いた……とか?」
「え?近付いてきたのは貴方じゃないですか。」
「だな。じゃあ偶然?」
「えーっと、偶然ですよね……。実は……隣の住人が私の彼氏でして……」
木嶋さんは私がもたらしたヒントをなんとか纏めようと、私の目を見つめながら頭をフル回転させている。
「吉岡優、です。」
「吉岡…………マジで?」
「私もまさかとは思ったんですけど……それが事実です。」
「え?じゃあ……先週泣いてたのは、吉岡のせいってこと?」
「はい」
「……なるほど……。で、万里子とも知り合いだったのか。で、なぜこんなことに?」
ガチャンと背中で音を聞く。優が戻ってきたのだ。
「あぁ、やっと役者が揃ったな。」
「吉岡……」
「万里子さん、起こして水飲ませた方がいいと思いますよ。多少は吐いたけど。」
「あ、あぁ……」
まだ状況が掴めていない木嶋さんは狼狽えつつ、ゆっくり万里子さんに触れようとした。
その木嶋さんに優は上から冷たい言葉を浴びせた。
「だけど、その前にハッキリさせといた方が良いですよ。自分の気持ち。」