浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
まだ木嶋さんは黙ったまま床を見つめていた。
「万里子さんなんかあっという間にお手付きだよ。顔よし、スタイルよし、金も名声もある。そんな女、ほっとく?」
優は私と目を合わせ、急に慌てた。
「俺は透子がいるし要らないけど!」
付け足されたようで、すごく気悪いんですけど。
そんな優の焦りもスルーして木嶋さんは呟いた。
「あーーー……ムリだな。」
「……でしょ?」
「俺、あいつが『二人で目指そう』って言ってた言葉が重たかったのかも。」
「あ~……アレね。」
アレ?
アレってなんだ?
私が物問いた気に優と木嶋さんを交互に見ても、二人とも納得顔でちっとも説明してくれない。
「なんですか?『アレ』って。」
「ーーーーんーー」
優はニヤリとするばっかりで、私の質問には応えない。
なによ!ここまできて除け者にして!
ムッとした表情の私の後ろからその答えは聞こえてきた。
「これ……ね。」
小さな子供ぐらいの大きさをした東京スカイツリーの置物を持った万里子さんが立っていた。