空から雨が降る日。【完】
「しずくぅぅぅぅ!?」
「…ゆ、優子…?どうしたの朝から」
電話の相手は、優子だった。
こんなに朝早くから電話をしてくるなんて珍しいし、しかもなぜか焦っている様子で少し驚きながらも冷静に反応する。
「大丈夫、なの?」
一気に静まり返った声。ピクっと眉を動かす。
「…なにが?」
冷静に、慌てずに返す。
だけど優子にはそんなこと通じなくて。
「昨日、吾彦さんから連絡貰ったの」
その言葉に、携帯を持っていた手が震えた。
「大丈夫なの?雫。あんた―…」
「優子、私…」
なにを、どういえばいいかわからない。
大丈夫。大丈夫だよ。そう伝えなきゃいけない。
だけど、心は言うことを聞いてくれなくて―…
「助けて、優子…っ」
私は電話口でそう言って涙を流した。